105歳まで現役の医師として活発に社会貢献を続けておられたのが聖路加国際病院の日野原重明先生でした。何しろ、「95歳は若者だ」というのが口癖で、病院での診察に限らず、海外を含めて各地に「新老人の会」を組織し、「輝く生き方」を提唱、実践されていました。筆者はご縁があり、日野原先生から直接、その健康長寿の秘訣を伺う機会があり、とてもラッキーだったと思います。

 今でも、その教えを反芻しながら、自らの健康維持に努めている次第です。では、その秘訣とはどんなものでしょうか。「いつまでも輝く生き方」を実践する上で大切なことは、先ずは「健康」であること。そのためにも、日々、「目標」を持って社会参加などを通じて活動すること。

そして、「健康」であるためには日常生活の上でもよく自己管理し、運動をすること。また、食べ過ぎないように、食事にも気を付けること。いずれも「言うは易く行うは難し」ですが、意識的に実践を心がけています。

 より詳しく説明すれば、最も大切なことは「よく噛む」ことです。食べ物を飲み込む前には「少なくとも30回は噛むこと」が大事だと教えられました。そうすれば、歯から脳へと刺激が伝わり、脳から全身に細胞の活性化や血流を促す波動が伝わるそうです。加えて、常に腹八分目を心がけること。「肥満に長寿なし」といいます。

要は、食事の量に関しては、「少し足らないな」と思う位がちょうど良いそうです。この「よく噛む」という教えを筆者は日頃接する情報にも当てはめています。すなわち、テレビ、新聞、ネット上で見聞きするニュースや解説もよく噛む必要があると思うからです。何しろ、世の中は「フェークニュース」で満ち溢れています。注意せねば無意識の内にフェークニュースに飲み込まれてしまうでしょう。

次に大切なことは、「運動」です。とはいえ、必ずしもスポーツジムに通う必要はありません。日野原先生曰く、「階段は一段飛び。早歩きを心がけ、エスカレーターや動く歩道は使わない」。言うまでもなく、普段の生活の中で、いくらでも運動ができるチャンスはあるということです。しかも、無理に身体を動かす必要はなく、ちょっとした工夫で運動量を加減できるというわけでしょう。

更に付け加えれば、「いつも笑顔」を絶やさないこと。我々の顔には笑顔を作るために表情筋が36本も備わっているそうです。ただ、意識して使わなければ、表情筋は固まってしまい、なんとなく不機嫌な表情が固定化してしまいます。これでは出会った相手との話も弾みません。鏡を見ながら、自分で表情筋を動かす努力が欠かせないでしょう。と同時に、全身の柔軟性を保つためには、首の柔らかさを保つことが重要とのこと。起床時や就寝前には首をぐるぐる回すことで身体全体の若さを維持できるはずです。 

また、普段から付き合う相手は年齢、職業とも多様性を重視することです。同じような年齢層や職種の人とばかり付き合っていると、どうしても発想や行動が固定化してしまい、身体も固まってしまうようです。「新老人の会」でも会員は70歳や80歳を超えた高齢者だけではなく、50代、60代でもジュニア会員として歓迎されているようです。経済、文化、歴史の勉強、コンサート、コーラス、フラダンス、ソフトボールなど、活発な活動が行われており、多彩な経歴、経験、趣味を持つ人々との出会いが、新たな輝きをもたらすきっかけになっているに違いありません。

最後に、筆者が最も感銘を受けた教えは「未来の自分との対話」です。日野原先生の手帳には10年先まで予定が書きこまれていました。先生曰く「こうして未来の自分へメッセージを送っているのです。そうすると未来の自分に合わせて、現在の自分の取るべき行動が変化します。未来の自分を喜ばせるような行動を今の自分が選び取る動機にもなるでしょう」。まさに、過去、現在、未来の自分との絶え間ない対話の積み重ねが輝く生き方の羅針盤になるというわけです。

 是非、皆さんも自分に合った健康、運動、食事、そして仲間との語らいを通じて「輝く瞬間」を増やす工夫を試みては如何でしょうか。気が付けば、100歳を軽く超えていた。そんな輝く人生の扉が開いてみませんか?