10月21日、日本初の女性総理が誕生しました。アメリカの連邦下院議員のパトリシア・シュローダー女史の下でインターンを経験したことを自らの初の選挙戦時からアピールしてきた高市早苗新総理です。
若き高市女史はアメリカの下院議員の事務所での2年弱の体験を通じて、ワシントン政界の表と裏を見聞きしたわけです。恐らく、シュローダー議員の言動を間近に観察しながら、自分自身の将来の政治家への道筋を思い描いていたに違いありません。実は、アメリカ政府は連邦議会議員の事務所で研修や活動を体験したいと希望する海外からのインターンの言動を常時観察しています。
その意味では、「将来の日本の政治家の卵」と見なされた高市女史の能力や可能性は徹底的に分析されていました。元国務長官でノーベル平和賞を受賞したヘンリー・キッシンジャー博士曰く「狙った相手との交渉を有利に進めるためには、相手の強みと弱みに関する情報(データ)を限りなく収集、分析することが最重要課題だ」。そのターゲットは敵、味方関係ありません。
アメリカ政府は「先物買い」ではありませんが、彼ら、彼女らの動静をモニターし、膨大なデータベースを構築しているのです。高市女史に関するデータも本人は気づいていないでしょうが、ばっちり補足されています。特に奔放な性格の彼女は、後々、スキャンダルとなりそうなタネをまき散らしていたらしいと聞いています。
そうであればこそ、今週来日した海千山千のトランプ大統領からも過大な対日要求の過程で、そうした高市ファイルのデータが交渉材料として提示された可能性が否定できません。高市総理は「トランプ大統領と緊密な関係を築き、新たな黄金時代を築きたい」と希望を述べていました。しかし、そう上手く行く保証はありません。
トランプ政権からは日本の防衛力強化や予算拡充の要求が相次ぎました。高市総理は防衛力や抑止力の強化には前向きで、「防衛費を2027年までにGDP2%の目標では少な過ぎる」と受け止め、アメリカとの共同軍事作戦の展開にも積極的に応じる姿勢を内外に示しました。
既に、水面下では高市新政権に対して「日本はできればGDP5%程度の防衛予算で抑止力と緊急事態対応への備えを万全にすべきだ。そうすれば、アメリカも日本との安全保障上の連携を確実なものにする」とのアプローチがなされています。というのも、アメリカは史上最悪の財政赤字に直面しているからです。かつて「世界の警察官」を誇示したような圧倒的な軍事力も、それを支える財政力も今や危機的状況に陥っています。
とはいえ、軍産複合体はトランプ政権を支える屋台骨のような存在です。NATO諸国はもちろんのこと、日本や韓国、そして台湾にも米国製のミサイルや戦闘機の売り込みに力を入れています。いわゆる「台湾有事」という一大事を煽ることで、トランプ政権は「中国と対峙するにはそれ相応の軍事力が欠かせない」と、日本への働きかけを強めてきました。
その流れに沿う形で、アメリカ企業への利益誘導が最優先されており、アメリカの投資ファンドのブラックストーンやブラックロックなどは、既にウクライナの資源の開発権の大半を押さえている模様。自民党の高市総裁が誕生するや、ブラックストーンの最高経営責任者は来日し、早々に高市総裁と面談をしています。先手必勝とも言える、その狙いは明らかです。彼らの意図するのは、日本の不動産や先端技術の利権の獲得にあります。
日本では30年以上もバブル崩壊後の経済不振が続いているとの自虐的な見方がはびこっていますが、ユダヤ系の世界最大の投資ファンドから見れば、「日本は宝の山。宝の持ち腐れ」というわけです。そのため、ブラックストーンは訪日外国人の急増を視野に、日本各地でのホテルやリゾート物件など高級不動産を熱心に買い漁っています。今や日本の不動産への最大の投資家集団は彼らに他なりません。また、iPS細胞など先端医療技術の開発で世界をリードする山中伸弥教授にも多額の資金提供を行っています。
アメリカの意向を忖度せざるを得ない高市政権ですが、トランプ政権の直面する内外の課題に対して、ブラックストーンなどトランプ大統領を資金面で支え、「関税政策は変化をもたらす有効な手段だ」とトランプ政策を全面的に支援する投資ファンドの狙いも把握しておく必要があるはずです。

