このところ人類を取り巻く環境は厳しさを増す一方です。自然災害は深刻化し、パキスタンでは長引く大雨のせいで国土の3分の1が水没してしまいました。アメリカやヨーロッパでは熱波による山火事が相次ぎ、甚大な被害が起きています。日本では各地で地震が発生。ただでさえ、新型コロナやその変異種が猛威を振うなか、自然界から次々と異常気象という難題を突き付けられているわけです。しかも、ウクライナ戦争は終結する兆しが見えません。
そんな中、世界の気象学者や環境問題の専門家からは「2026年人類滅亡説」が唱えられるようになってきました。人類の生存が問われる深刻な環境破壊と食糧危機が忍び寄っていることは間違いなさそうです。何しろ、世界各国の1万人以上の気候変動を研究する専門家が口を揃えて「このままでは人類は滅亡する」との警告を発しているのですから。
とはいえ、日々の生活に追われているせいか、ほとんどの人々は自分の問題としては受け止めていないようです。日本でも、おそらく中国でも似たような状況ではないでしょうか?ここは目の前の異常な環境の変化に対してもっと自分たちの問題としてきちんと向き合うことが欠かせないと思います。
実は、温暖化の影響で氷が溶けだしている北極海の海底ではメタンガスが噴出していますが、海中で溶けることなく、大気中に放出されているのです。その影響で北米でもロシアでも森林火災や泥炭地の崩壊が相次ぐようになりました。
長引くウクライナでの戦争が米ロの核兵器の応酬になりかねない事態も憂慮されますが、地球全体が人も魚も動物も住めない環境に陥っていることも大いに気になります。なぜなら、毎日、200種類の植物、鳥、動物、魚、昆虫などが絶滅しているからです。既に2万6000種類の生物が地上から姿を消してしまいました。
これだけ生物圏(地表、水、大気)が汚染され、破壊されてしまえば、人類だけが生き残ることはあり得ない話でしょう。大量のプラスティックごみが河川や海に投棄されています。日本政府は福島原発事故で発生した放射能汚染水の貯蔵タンクが満杯となってきたため、来年から安全なレベルまで希釈した上で海に放出することを決めました。地元の漁民や周辺諸国からは懸念や反対の声も聞かれますが、日本政府は「丁寧な説明を行う」と言うだけで、説得力はありません。
その一方で、国連食糧農業機関(FAO)では「人類が生き残るためには地球環境に負荷の少ない食料、すなわち、昆虫食が望ましい」との報告書をまとめています。スイスに本拠を構える「世界経済フォーラム」でも「グレイト・リセット」という標語を掲げ、「食べる量を減らそう。そうすれば環境への負荷も少なくなる。どうしても食べたい人は人工肉や昆虫食にすればいい」と訴え始めました。それだけ、人類にとっては「食生活、生活スタイル」を根本から見直す必要があるということでしょう。
しかし、FAOが提唱する「昆虫食」ですが、肝心の昆虫そのものが絶滅の危機に瀕しているのです。これでは人類の未来は展望が開けません。
そこで、「待ってました!」とばかり登場してきたのが、ビル・ゲイツ氏。この8月、久しぶりに来日したゲイツ氏は日本政府から旭日大綬章を授与され、ホクホク顔を見せていました。同氏はコロナ用のワクチンでも大儲けしていますが、食糧危機にかこつけて「代替肉(プラントベースミート)」の普及に本腰を入れています。マクドナルドやケンタッキー・フライド・チキンとも提携し、代替肉を広めようとあの手この手のようです。
要は、肉も魚も野菜も全て人工的に作るという壮大な「人類救済計画」を打ち出したのです。果たして、どのような結末となるのでしょうか?アメリカではマクドナルドで売り出したプラントバーガーは「美味しくない」と消費者からは「ノー!」を突き付けられ、販売中止に追い込まれたようです。
今なら、春夏秋冬、自然の恵みを十分に楽しむこともできます。けれども、「2026年人類滅亡説」が正しければ、四季折々の食文化を満喫できるのは「あと4年」かも知れません。「医食同源」という価値観を共有する日本と中国が力を合わせて、人間と自然の共存共栄に舵を切る最後の機会を見逃すわけにはいきません。アメリカでも、「You are what you eat ! 」とはよく聞く表現です。であればこそ、アメリカ人も含め世界の人々にも訴えるチャンスにしたいと思わざるを得ません。