皆さん、もうじき、バレンタインデーですね。

 チョコレートの交換で盛り上がるに違いありません。ところで、「義理チョコ」であっても、「本命チョコ」であっても、チョコレートには意外な効能が隠されていることをご存知でしょうか?

 最近、ヨーロッパで行われた大規模な研究によって、ココアに含まれる化合物である「テオブロミン」は血中濃度を高め、生物学的年齢を若返らせる効果があることが認められました。チョコレートファンにとっては聞き捨てならない朗報でしょう。

 テオプロミンとは聞きなれないかも知れませんが、カフェインなどの食物性化合物より、われわれ人間の健康維持に大きな効果を有しています。

 研究者らは、死亡リスクを予測する可能性を含め、2つのDNAベースの老化時計を用いてテオプロミンの生物学的な老化予防効果を測定しました。 もちろん、この研究は初期の観察段階であり、チョコレートやテオブロミンの摂取を増やせば、それだけで老化を遅らせることにはつながりません。 今後の本格的な研究が待たれる所以です。

 いずれにしても、民間伝承と最先端科学が融合したような発見で、ダークチョコレートに含まれるささやかな成分が生物学的老化の速度を遅らせる可能性があることを示唆していることは間違いありません。

 キングス・カレッジ・ロンドンの科学者らが主導した研究は、2025年12月10日付の学術誌「Aging」に掲載されました。 ヨーロッパの成人1,600人以上のデータを分析し、血中テオブロミン濃度が高い人は、生物学的年齢が若いことを示すDNAマーカーを示すことを確認したのです。

 この観察研究は、伝統的慣習として長年大切にされてきた日常の食品が、私たちの長期的な健康に最も根本的なレベルでどのように影響を与えるかについての意外な発見をもたらしてくれました。

 科学者たちは既に「エピジェネティックマーカー」(DNA上の化学タグで、身体の摩耗や損傷が蓄積するにつれて予測通りに変化するもの)を調べることで生物学的年齢を測定する手法を確立しています。

 今回の研究では、死亡率を予測する「GrimAge」時計とテロメア長推定値(DNAmTL)という2つの指標が基準として用いられました。 その結果、一貫したパターンが確認されたと報告されています。

 何かと言えば、テオブロミン濃度が高いほど、GrimAgeの加速が低く、推定テロメア値が長いことが関連していることが立証されたわけです。

 つまり、体内にこのカカオ由来の化合物が多い人は、生物学的に実年齢よりも若く見える細胞を持つ傾向があるという「新発見」に他なりません。 オブロミンの意外な「若返り効果」が確認されたと言っても過言ではありません。

 これまで、ダークチョコレートに特徴的な風味を与える苦味アルカロイドであるテオブロミンは、より有名なカフェインや、抗酸化作用で知られるカカオに含まれるポリフェノールの影に隠れていました。

 実は、線虫やマウスを用いた実験室での研究では、テオブロミンが寿命や心血管機能に潜在的な有益性をもたらす可能性が示唆されていましたが、ヒトを対象とした大規模なデータは行われておらず、今回の大規模な研究は画期的なもの。

 この研究を主導したキングス・カレッジ・ロンドンのリカルド・コステイラ博士は、「カカオに含まれる天然化合物が健康をサポートする新たな分子メカニズムを解明できた」と述べ、共同研究者のジョーダナ・ベル教授は、この研究は「日常の食品が、より健康で長生きするためのヒントを秘めているのかを理解する上で役立つ」と説明。

 今回の研究結果は、カカオの健康効果はポリフェノールだけよりも複雑である可能性を示唆していますが、現時点ではあくまで観察研究の段階に過ぎません。 説得力のある関連性は特定されていますが、テオブロミンの摂取、あるいはダークチョコレートの摂取が老化を遅らせることを完全に証明するには至っていないのですから。

 その意味では、生きていく上で欠かせない食事、運動、遺伝といった多くの要因が、チョコレートの摂取と老化マーカーの両方に影響を与える可能性を秘めていることを忘れてはなりません。

 更に、ダークチョコレートには糖分と飽和脂肪酸が含まれており、過剰摂取すると潜在的な利点が打ち消されてしまう可能性もあります。
こうしたメリット、ディメリットをしっかりと理解した上で、チョコレートをじっくりと味わいたいものです。